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心を写すレンズ
Namiko Kitauraという写真家は、まるで空気をすくい上げるように、目には見えない感情をカメラで捉えることができる。
彼女の作品には、モデルの顔が写っていないことも多い。
写っているのは、風にそよぐ草花だったり、人の肌のやわらかな質感だったり、ときには空間そのものだったりする。
だが、そこにあるのはただの風景ではない。まるで心の中をそっとのぞかれているような、そんな不思議な感覚になるのだ。
もともと彼女は油絵を学ぶためにイギリスへ渡った。
しかし、絵筆よりもレンズを手にしたとき、自分の感情をもっと自然に、深く、外へと運ぶことができると気づいた。
写真という静止したイメージのなかに、自分の中にある動くもの――喜びや悲しみ、ざわつきや静けさ――を映し出す。それが、彼女にとっての「写す」という行為である。
その後、イタリアのアーティスト・イン・レジデンスに選ばれ、ヨーロッパ各地で活動を広げてきた彼女の作品には、日本人ならではの自然観と、ヨーロッパで磨かれた美意識が同居している。
写真の中に流れる空気や光は、見る人の心にやさしく触れ、忘れていた記憶を呼び起こしてくれる。
時間のない時間を写す
Namiko Kitauraの作品を前にすると、不思議と「時間」を意識する。
けれど、それは時計で測れるような時間ではない。写真の中にあるのは、始まりも終わりもない、ただ「そこに在る」という感覚である。
たとえば、咲き終わった花や、静かにたたずむ空間を写すことで、彼女は「過ぎていくものの美しさ」を語りかけてくる。
彼女の写真は、いわば「時間のない時間」を写している。
動きも音もない世界なのに、見るたびに何かが動いているように感じる。それは、光の変化だったり、記憶のさざ波だったり、心の中にゆっくりと沈んでいく想いだったりする。
誰かの人生の一瞬が、知らないうちに自分の中にもあったような、不思議な共鳴が起こるのだ。
この「静かな共鳴」こそ、彼女の写真の魅力である。
技巧をひけらかすことなく、あくまで静かに、ひとつの呼吸のように語りかけてくる。
だからこそ、見る人はその写真と長い時間を過ごすことになる。すぐには理解できなくても、じわじわと心の奥に染みてくる。
そしてふとしたときに、その情景が頭の中によみがえるのだ。
作品と生きるということ
Namiko Kitauraの作品は、飾るための写真であると同時に、生きるための写真でもある。
インテリアのようにただ空間を美しくするのではなく、空間の「呼吸」を変えてしまうような力がある。
とくに彼女の写真は、ホテルや建築空間と調和することで、空気や時間の流れまでも設計してしまう。
写真が壁にあるのではなく、「空間の一部として存在する」ことを彼女は知っている。
また、彼女の写真には言葉がない。
けれど、見る人の心に確かに語りかけてくる声がある。
それは、国境や年齢、性別を超えて、誰もが心のどこかに持っている「風景」への呼びかけだ。
それぞれの人が、違う感情や記憶をそこに見つける。つまり、Namiko Kitauraの写真は、見る人の心に合わせて変化する作品なのだ。
写真というメディアは、一見すると「瞬間を切り取るもの」と思われがちである。
だが彼女は、その瞬間に込められた感情の層や、流れていた空気の重なりまで写し出す。それは、「写真が語る」のではなく、「写真と語り合う」という体験に近い。
Namiko Kitauraの作品は、ただ美しいだけではない。あなたの生活に静かな対話と深い呼吸をもたらしてくれる。
心に寄り添う一枚を、今のうちにそっと迎えてみてほしい。
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Namiko Kitaura |
Schedule
Public View
4/19 (sat) 11:00 – 19:00
4/20 (sun) 11:00 – 17:00
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